第2回 高齢化時代
少しの間、人口と世帯の将来を予測する統計にお付き合い願いたい。【(表)人口・世帯の将来推計】
![]()
(クリックで拡大)
2003年、住宅・土地統計調査(総務省)によると、住宅のストック数は、約5,389万戸である。同年、世帯総数は、約4,716万世帯である。世帯総数に対して、約700万戸の住宅が余っている勘定になる。
日本の将来人口は、今年(2006年)をピークに、以後、減少に転ずると予想されていた。ところが、昨年(2005年)、予想より1年早く、減少に転じた。また、1947年に4.54人であった出生率が、2005年には1.25人まで落ちている。一方、世帯数は、2005年4,904万世帯と予想され、以後、世帯増加が激減し、2015年5,048万世帯をピークに世帯数も減少に転ずると推定されている。
このように、統計から推測すると、「住宅は、ますます過剰になる」ということになる。
しかし、「住まい」は事足りたであろうか。むしろ、生活と住まいについて、再び考えなければならない‘深刻な’時代を迎えているように思われる。
ひとつに、本格的な高齢化時代を迎えたということがあげられる。世帯主年齢が65歳以上の一般世帯の数――これを「高齢者世帯」という――は、2000年には1,114万世帯(一般世帯総数の23.8%)であった。これが、2005年に1,338万世帯(一般世帯総数の27.3%)、2015年には1,762万世帯(一般世帯総数の34.9%)と高齢者世帯数とその割合は大きくなっていく、と予想されている。
しかも、高齢単身世帯は2000年に6.5%であったものが、2015年には11.2%にまで増えると推定されている。

グループホーム東久留米
数年前、都内の社会福祉協議会の依頼でグループホームの需要調査をした。広い敷地と広い邸宅に高齢者が一人で住んでいる例があった。その方が日常使用している部屋は一階の居間一間であり、二階にはここ数年上がったことが無いという。近年、ホームエレベーターを装備する例も増えてきているが、このような高齢者一人住まいの事例が、頻繁に見受けられるようになってきた。
統計の示すところは、2015年には10世帯に1世帯が高齢単身世帯の住宅になるということである。高齢者の生活を支援する仕組みを、ひとつの住宅のなかだけで解決するだけでなく、その枠を超えて、地域で対応しなければならない時代を迎えた。
一方、住宅余りのなか、「4人以上の家族の29%が100㎡未満の持家に住んでいる。単身、夫婦のみの高齢者の54%が100㎡以上の持家に住んでいる。」という。住宅のミスマッチである。
ライフスタイルと住宅がマッチした、住宅選択の自由度を実現する、住宅のストックの改善、地域的な住宅の再生が望まれているといえよう。
2006年7月24日更新

1948年生。83年4月株式会社ミサワホーム総合研究所入社。
(株)ミサワホーム総合研究所、(財)住宅都市工学研究所で
「まちづくり・住まいづくり」の調査・研究開発を行う。
同時に、ミサワホーム株式会社、ミサワシティ(株)等関連会社と
併任・兼務し、都市開発、区画整理、再開発等の事業プロジェクトを
推進、事業プロジェクト、まちづくり、医療・介護施設等の企画を行う。
現在、株式会社ミサワホーム総合研究所 理事。
東京大学都市工学科大学院博士課程修了。工学博士。一級建築士。
【趣味】 自然観照、散歩、読書。

